病気解説
内科
便秘症
便秘症は、年齢性別に関わらずかかる病気で、推計500万人を越えると言われるほど身近な病気です。
ただ、身近であるからこそ、軽く考えられがちで、「病気」とまでは考えていない人も多いのが実情です。
しかし、便秘の方は便秘でない方に比べ寿命が短いという研究データもあり、便秘は「たかが便秘」ではないことがわかってきました。
便通という文字通り、「便は体からのお便り」です。
便の状態や出方によって、体の状態も推測することができるのです。
便秘や下痢など便通に何らかの異常がある場合は、大きな病気の兆しということもありますので、医療機関に相談されることをおすすめします。
ふじた医院では、女性医師も診察しておりますので、女性の方もお気軽に受診ください。
東洋医学の視点から生活習慣や食事習慣のアドバイスも行いますので、これまでの治療で改善しなかった方もご相談ください。

便秘の定義とは?私は便秘かも?と考える基準
日本内科学会は「3日以上排便がない状態、または毎日排便があっても残便感がある状態」と定義しています。
しかし、毎日出なければ便秘傾向と考え、何らかの対策(後述)をとった方がよいと考えます。
腸が健康な場合の便通は
- 毎日自然に出る
- 適度にやわらかく、太い(細くない)
- においが少ない
といった特徴があります。
腸が健康であれば、「食べたら出る」のが通常で、「食べているのに出ない」のは、腸が不健康な状態のサインです。
よって、「毎日すっきり出ない」、「便が細い」、「便が固い」、「便に血が混ざる」、「便臭がきつい」、「ガスがたくさん出る」など、便通に異常がある場合、早めに対策をとることをおすすめします。
便秘を放っておくと、以下のような病気が進行する、あるいは大きな病気を見逃すことになるからです。
便秘を放っておくとどうなる?
便秘を放っておくと、こんな病気になる可能性があります。
静脈血栓症、虚血性腸炎、腸閉塞、慢性便秘症、いぼ痔や切れ痔、肥満、肌荒れ、など胃腸だけでなく、全身に症状が現れます。
また、大腸がんや直腸がんは便秘などの便通異常が現れ、便秘をきっかけに発見されることもありますが、便秘を放っておくと、こうした大きな病気(下記詳述)を見逃し進行してしまうという可能性もあります。
便秘で疑われる大きな病気とは?
便秘の場合、疑われる病気には以下のようなものがあります。
腸疾患
- 大腸がん
- 直腸がん
- 炎症性腸疾患(クローン病など)
- 腸管癒着
- 過敏性腸症候群 など
腸以外の疾患
- 糖尿病
- 甲状腺機能低下症
- パーキンソン病
- 子宮筋腫
- 卵巣がん
- 高カルシウム血症
- 脊髄損傷 など
便秘は様々な病気のサインです。
便秘の一番の問題は、「便秘に慣れてしまう」ということです。
便秘になると、便意を感じにくくなり、さらに便秘になるという悪循環があります。若いころから便秘気味の方は、1週間出なくても平気、という方もいらっしゃいます。
しかし、便秘は体のSOSサイン。
放置せず、また、自己流でなんとかしようとせず、医療機関を受診しましょう。
便秘の原因は?
便秘の原因は多種多様ですが、大きく分けて3つの原因があります。
①腸の通り道が狭い、腸管以外の病気で腸が圧迫されている
大腸がんや直腸がんなど、便の通り道に物理的な障害あると、便が出にくい、便が細いなどの便秘症状がでます。
また、腸以外にも、子宮や卵巣などに腫瘍があると、腸が圧迫されて、便秘になることもあります。
②腸内環境が悪い、腸に炎症がある
西洋的食事や水分不足などで、腸内環境が悪化していると、便が固くなり、便通が悪くなります。
また、食事のなかには腸に炎症を起こすものもあり、腸に炎症が起きると、腸の動きが悪くなり、便秘や下痢になります。
③腸の動きが悪い
腸の動きが悪くても便秘になりますが、その原因となるのは、腸の冷えや神経の異常です。
冷たい飲食物や気温、ストレス、ホルモンバランスにより、腸が冷えると、腸の動きが悪くなり、便秘になります。
また、腸の運動や排便をつかさどる神経が損傷をうけると、腸の動きが悪くなったり、便意を感じにくくなったりして便秘になります。
糖尿病や脊髄損傷といった疾患が隠れている可能性があります。
便秘解消法
このように、様々な原因で引き起こされる便秘。
ご自身でできる対策をお伝えしていきます。
ポイントは、「腸の健康を保つこと」で、そのためには以下の3つの点に気を付けましょう。
①腸をあたためる
腸への血流を良くして、あたためることで腸の動きを改善させましょう。
温かい水や食べ物を摂る、有酸素運動を習慣化する、お腹をやさしくマッサージする、お風呂にゆっくり浸かり体をあたためる、などの対策が挙げられます。
逆に、生野菜や冷水など体を冷やすものは避けるようにしましょう。
夏に便秘になりやすい方は、冷たいものの摂りすぎが原因かもしれません。
冬に便秘になりやすい方は、体が冷えていることが原因かもしれません。
②腸に刺激の強い食事を避ける
便秘解消に良いとされる食品はよく知られており、便秘の方は食物繊維などを積極的に摂取されれている方も多いですが、逆に腸に悪影響を及ぼす食品を避けるというのも非常に重要です。
西洋的食事は腸への負担が強く、便秘や最悪の場合、大腸がんの原因となることが知られています。
具体的には、油の多い食事、グルテンを含む食品(小麦粉など)、カゼインを含む食品(乳製品)です。
和食は、玄米、根菜や海藻類など、腸内環境を整える食品を多くとることができますので、和食中心の食生活を心掛けましょう。
③水分をしっかりとる
水分が一番のポイントです。
便秘は、便の水分が少ないために、便が固くなり出にくくなる場合も多いので、水分は積極的に摂りましょう。成人であれば、1日1.5L~2Lが目安です。
お茶やコーヒーはカフェインが含まれており、胃腸への刺激がありますので、水を飲むようにしましょう。できれば冷水ではなく、白湯が望ましいです。
検査と治療法
以上、ご自身でできる解消法をお伝えしましたが、単なる便秘と自己判断するのは危険です。
よって、便秘の場合は、消化器内科を受診し、適切な検査や治療、指導を受けましょう。
疑われる原因に合わせて、血液検査、エコー検査、肛門鏡検査、大腸内視鏡検査、CT検査、MRI検査などを受けます。
そして、その結果によって治療を行います。
大腸がんなど明らかな原因がない場合、便をやわらかくするお薬や腸内環境を整える整腸剤が処方されます。
ふじた医院では、便秘にならない体質へ改善するよう、漢方薬も用いた治療を取り入れています。
よくあるご質問
Q1: 何日便秘が続くと受診した方がいい?
1日でも便秘の症状があれば、受診をおすすめします。
実際、たった1日の便秘で重度の痔になり受診された方もいらっしゃいます。
放置すればするほど、便秘自体も悪化しますし、便秘に伴う諸症状も出現してきます。
Q2: 便秘は何科を受診すればいい?
消化器内科あるいは肛門科を受診しましょう。
場合によっては大腸カメラ検査なども必要になることもありますので、大腸カメラ検査もできる消化器内科だとよいでしょう。
Q3: 市販の薬を飲んでいてはだめですか?
市販の薬の中には、体が慣れてしまって効きが悪くなる種類のものもあります。
また、市販薬が効いている場合でも、上記のように便秘の原因がわからないまま薬を飲み続けるのは、大きな病気を見逃すリスクがあります。
よって、便秘の場合は、必ず医師の診察を受けるようにしましょう。
気になる痛みや症状があったらお気軽にご相談ください
WEBでお問い合わせ