病気解説
整形外科
突き指(突き指した場合の症状や対処法)

「突き指」は、ボールなどが当たり、指に対し長軸方向に強い力が加わることによって起こる指のケガです。
よくあるケガである分、放っておけばそのうち治ると軽く考えられがちです。
突き指は靭帯が損傷されることが多いですが、微小な骨折や、脱臼、靭帯断裂などが起きることもあり、軽視は危険です。
また、突き指はお子さんがスポーツをしていて受傷することが多いですが、お子さんの骨は柔らかく、骨折を伴うことも多々あります。
突き指した場合は、「これくらい冷やせば治る」と思わず、適切な対処を学び、必ず整形外科を受診し、医師の診断と適切な治療を受けてください。
突き指の症状
指の腫れ、赤みや内出血(紫斑)、痛み、変形、動かしにくさ(可動域制限)などの症状が出ます。
こうした症状があまりない場合、軽症と考えるかもしれませんが、腫れが強くなくても骨折している場合もあり、症状と重症度は必ずしも比例しません。
指は骨、筋肉、靭帯、関節、血管、神経といった多くの要素から成り立っており、一言に「突き指」といっても、様々な外傷につながります。
「腱や靱帯」が損傷されると、断裂し関節の動きに異常が出たり、脱臼したりします。
「骨」が損傷されると骨折になり、 両者が同時に損傷されると、脱臼骨折というケガになります。
末節骨骨折、中節骨骨折、基節骨骨折、脱臼や脱臼骨折、側副靱帯損傷、関節包損傷、屈筋腱断裂、伸筋腱断裂などです。
「たかが突き指」と放置しておくと、思わぬ骨折や靱帯損傷を見逃すことになり、治療が遅れれば、後遺症も強くなる可能性があります。
指を細かく動かせなくなると日常生活に支障が出ます。後遺症が出ないよう、受傷後すみやかな受診を心がけましょう。
受診する医療機関は、整形外科です。ふじた医院では、作業療法士が常在しており、突き指の治療にリハビリも取り入れています。
突き指と骨折の違い
突き指は「現象」「ケガの原因」を表し、骨折は「状態」を表します。
つまり、怪我した原因が「突き指」で、その結果「骨折」というケガの状態になることがあるのです。
突き指によって、捻挫だけでなく、骨折や腱の断裂など重症に至る場合も多くあります。 自己判断で様子ていると、骨折や腱断裂が見逃され、指が動かなくなるなどの後遺症が残る場合もあります。
ですので、突き指をしてしまったら自己判断はせずに、整形外科を受診し、検査・治療してもらうことをおすすめします。
突き指の診断と治療
突き指の診断では、受傷が疑われる部位のレントゲン検査を行います。
成長期のお子さんの場合は、成長線という、骨が伸びてくる軟骨組織があり、この組織の損傷がないかを確認するため、ケガした側の指だけでなく、健側の指も同時に撮影し比較します。
また、靭帯の損傷の有無を調べるため、関節に軽度のストレスをかけて動かし、患側と健側の動きを比較します。
検査結果により治療は異なりますが、靭帯の損傷のみと診断した場合は、添え木固定を1週間行います。
1週間の固定で症状が治まり、動きも問題なければ治療は終了しますが、後遺症として関節の動きの悪さが残った場合、リハビリを受けていただきます。
リハビリについては、ふじた医院でもリハビリの流れを次の項目で詳しくお伝えしていきます。
骨折が見つかった場合、添え木固定を1か月から2か月続けることもあれば、手術が必要になることもあります。
骨折の場合は、固定の期間も長く、固定を外した後、関節の動きは悪くなっているので、リハビリが必須となります。
また、受傷直後に「明らかな骨折なし」と診断しても、受傷直後は折れた骨どうしがまだくっついていて骨折線がレントゲンには全くうつらないこともあり、受傷後1週間程度したときに、骨どうしが離れてきて骨折が見つかる場合がごくまれにあります。
その場合は、1週間しても痛みがひかなかったり、赤みがひかないなど、症状が持続するという特徴がありますのでレントゲンにて再検査し、必要な治療を行います。
突き指のリハビリ
突き指は軽症だと捻挫、重症だと骨折や脱臼、腱断裂になりますが、どちらも関節を動かしにくくなるという後遺症が出ますので、受傷後、炎症が落ち着いたり、骨折が治癒したらリハビリが必要です。
ふじた医院では、理学療法士と作業療法士が常駐しており、外傷のリハビリに力を入れております。
こちらでは、ふじた医院でのリハビリの流れをご説明します。
- 可動域訓練
固定期間によっては指が硬くなったり、筋力が低下することもあります。 指の関節可動域訓練やストレッチを痛みのない範囲で行い、指の可動範囲を広げていきます。 - 筋力強化
安静により手を使わなかった影響で、肩、上腕、前腕など突き指部分以外の筋力低下がみられることがありますので、筋力チェックやトレーニングを行います。
握力トレーニングでは器具やゴムバンドなどを使い、腕や指の筋力を強化します。その他にネットやボールを使って、指の細かい動きを促すトレーニングを行います。 - その他(自宅での生活指導)
・テーピングをすることで、指の動きを制限し、再発防止に役立ちます。
・痛みや腫れが引いてから、指や手首のマッサージを行うと、血行が促進され、回復を助けます。
・炎症が落ち着いてから、患部を温めることで、血流を改善し、組織の回復を促すことができます。
リハビリは無理のない範囲で少しずつ行っていきます。焦らず、じっくり取り組みましょう。
突き指の予防
突き指は不慮の事故の様に思われますが、手のひらや手首が自由に動きやすい様に、大きく開く、握る、手首を前後に大きく動かすなど、ストレッチを常に行ったり、崩れた体制でも正しくタイミングよくボールを扱う事ができる様な技術向上を目的としたトレーニングを十分に行ったりする事で予防する事が可能です。
野球では、ゴロ捕球時の姿勢が高いとボールに対して手の位置も変わってしまいます。
また目線も変わるために、イレギュラーバウンドに対応できなくなります。
バレーボールのブロックでは、タイミングのズレが突き指の受傷理由に多い様です。
正しい姿勢と動き、目線、タイミングが突き指の予防になります。
グランド整備を行う事、グランドの状況を把握してプレーを行う事も予防策となります。
よくあるご質問
Q1: 突き指した場合の応急処置は?
骨折の可能性も考え、安静(できれば固定)とし、整形外科を受診してください。
むかしは、突き指したら引っ張ればいいという間違った対応がされていましたが、決して動かさず、安静を心掛けてください。
痛みが我慢できる範囲なら必ずしも冷やす必要はなく、腫れがひどくずきずきと痛んでつらい場合のみ冷やすようにしてください。
冷やしすぎや鎮痛薬の安易な使用は患部の血流を滞らせ、治癒を遅らせますので、冷やして痛みを止めれば治るという認識は誤りです。
ふじた医院では、痛み止めや湿布で痛みを単に止めるのではなく、漢方によって、血流を促し自然治癒力を高めて治療するようにしています。
Q2: 突き指から1週間しても腫れが引きません。整形外科を受診した方がいいでしょうか?
受傷から1週間経過しても赤みや腫れが引かない場合は、骨折や靭帯断裂の可能性もありますので、すぐに整形外科を受診しましょう。
なお、受傷直後、整形外科を受診し突き指や捻挫と診断されたが、1週間しても症状が軽減しない場合も骨折の可能性がありますので、再度受診するようお願いします。(受傷直後では、レントゲン検査で骨折線が写らず、骨折が明らかでない場合があります。)
Q3: 指は動かせるので、骨折はしてないと思うのですが、受診した方がいいですか?
微小な骨折の場合、ある程度動かせる場合もありますので、骨折の可能性はあります。必ず整形外科を受診しましょう。
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