病気解説
整形外科
骨折(ひどい腫れや強い痛みがある場合)

骨折とは、骨が壊れることで、ケガによるものから骨粗しょう症まで原因も多様で、小さいお子さまからご高齢の方までどなたにでも起こり得るケガです。
こちらのページで、骨折を疑う症状や原因、予防法などをご説明していきます。
こんなにたくさんある骨折の種類
骨折とは、何らかの原因で骨が壊れることをさします。
骨折には、はっきり折れる(完全骨折)だけでなく、下記のように様々な種類があり、「ただの腰痛だと思っていたら骨折していた!」「軽い捻挫だと思っていたら骨折していた」ということもよくあります。
- 不全骨折(いわゆるヒビ)
骨の一部が折れた状態 - 剥離骨折
骨の一部が欠けてはがれた状態 - 圧迫骨折
骨が凹む・つぶれた状態 - 成長線骨折
お子さまで、骨が伸びてくる骨端線に損傷がある状態 - 若木骨折(不全骨折)
お子さまの柔らかい骨が、若木がしなって折れるように折れている状態 - 病的骨折
癌などで骨が融解している部分で、骨が潰れたり折れたりする状態 - 疲労骨折
同じ場所に繰り返し長期間、力がかかり続けて骨が折れること
このように、骨折は年齢に関わらず身近なケガであり、捻挫など他の怪我と併発することも多いケガです。
ケガをした場合、「このくらい大丈夫だろう」と自己判断で放っておくのではなく、骨折を疑って医師の診察を受けるというのは、早期治癒・後遺症を残さないためにとても重要です。
骨折の恐れがある場合の対処法
以下のようなケガや病気の場合は、骨折の原因になりますので、必ず骨折まで疑って、整形外科を受診してください。
①強い力がかかって痛みがある、腫れている、赤くなっている、紫になっている、動かせない(動かせる場合もあります)
捻挫、打撲、転倒、転落、圧迫(何かに挟まれた、長時間同じ姿勢が続いた)、同じスポーツや動きを長期間継続している。
②癌など骨が融解する疾患にかかっている
癌は、骨そのものに発生する癌(骨肉腫などの骨腫瘍)や、内臓の癌が骨に転移するもの(骨転移)がありますが、いずれも癌が発生した部位の骨は脆弱になり、その部分から折れたり、潰れたりすることがあります。
癌で治療中の方は、骨転移や骨折に十分注意して生活されていると思いますが、骨腫瘍の場合は、痛みで受診して初めて判明するということもあります。
ケガをした覚えもないのに、身体のどこか、特に膝や腕などに強い痛みを感じる場合は、できるだけ早く医療機関(整形外科)を受診されることをおすすめします。
上記の通り骨折の原因も様々なので、治療も様々ですが、ここでは一般的な外傷性の骨折や圧迫骨折についてご説明します。
(1)レントゲン検査にて明らかに骨折がある場合で、手術なしで骨の癒合が見込める場合
ギプス固定や添え木固定とし、通常は1か月半から2か月の固定で骨が癒合します。(治療期間は年齢や状態により変動)
(2)レントゲン検査でははっきりしない、あるいはレントゲン検査で手術が必要と判断された場合
CT検査やMRI検査による精密検査にて骨折の有無をはっきりさせます。
精密検査の結果、手術ができない場所(肋骨など)や手術までは不要と医師が判断した場合、ギプス固定やコルセット固定とします。
骨折した骨どうしのズレが大きい場合や、今後の生活のために十分な機能回復が必要な場合、金属製のプレートを用いた骨接合や人工関節置換術などの手術を行います。
手術の種類は、骨折した部位や原因、年齢、身体状態、生活様式に応じて決定されます。
骨折の治療は、固定や手術など様々ですが、いずれも後遺症を防ぐことを目的としており、自己判断で骨折を放置していただきたくない理由も、以下のような後遺症が怖いからです。
- 偽関節(ぎかんせつ)
骨折した部位が6ヶ月以上たっても癒合せず、本来関節ではない部分が関節のようになってしまう状態 - 神経障害
骨折に伴う腫れや骨の変形によって神経が圧迫され、しびれや痛み、運動麻痺が出る状態 - 変形障害
骨が変形して治癒することで本来の骨の機能が発揮されない状態 - 機能障害/運動障害
関節の可動域や身体の動かせる範囲が狭くなる
骨折の治療や予防のため受診する診療科はこちら
骨折による後遺症で苦しむことがないように、骨折を疑ったら、早期に医療機関を受診しましょう。
受診するのは、整形外科です。そして、骨折に伴う関節の拘縮や筋力低下を予防するためには、リハビリテーションの設備が充実している整形外科を受診するようにしましょう。
ふじた医院では、骨折後のリハビリテーションを重視した治療を行っておりますので、骨折やその手術後のリハビリテーションについて、お気軽にご相談ください。リハビリテーションについてのページはこちら
また、下記のような骨折のハイリスク群の方は、骨折予防が非常に重要ですが、その場合もご相談ください。
こんな人は骨折に注意!骨折のハイリスク群とは?
癌や骨腫瘍以外で最大のリスクは、骨粗しょう症です。
骨粗しょう症とは、骨の質や量が低下して、何でもない動きでも骨が折れるリスクがあることです。
そして、骨粗しょう症になりやすいのは、60歳以上の女性です。女性ホルモンの低下により、骨も弱くなるとされており、60歳以上の女性の方は、骨折のハイリスク群といえます。
よって、女性の方は60歳を過ぎたら、整形外科にて骨密度の検査(レントゲン検査など)をし、骨密度の低下が認められれば、年齢に関わらず、骨粗しょう症予防のための治療薬を内服しましょう。
もちろん、男性でも加齢とともに骨粗しょう症と骨折のリスクは高まりますので、ご高齢の方は骨密度の検査を受けましょう。
骨粗しょう症の治療薬は、身体の状態や通院の都合に合わせて、内服や注射まで様々ですので、医師と相談しながら、ご自身に一番適した治療法を選択しましょう。
骨粗しょう症に関する詳しいページはこちら
よくあるご質問
Q1: 骨折を疑ったとき、整形外科と整骨院のどちらを受診すればよいですか?
整形外科を受診しましょう。
骨折の診断にはレントゲン検査が不可欠ですので、必ず医師の医師の診察や検査を受け、適切な治療を受けましょう。
Q2: 骨折予防に良い食べ物はありますか?
骨といえば牛乳というイメージが強くありますが、必ずしもそうではありません。
骨の形成には、カルシウムとマグネシウムのバランスが重要であり、カルシウムの摂取過多は、かえって骨を弱くする可能性もあります。
また、東洋医学的には、身体を大きく成長させていく(陰陽の陽の質をもつ)食べ物として、海藻や塩分がおすすめです。
Q3: 骨折を疑う場合の応急処置はありますか?
骨折の可能性を疑った場合、絶対に動かさず、体重をかけないようにしてください。
折れていても動かせる場合もありますが、その場合も安静にして、医療機関をすみやかに受診しましょう。
ご自身での安静が難しい場合は、添え木になるようなもの(板や定規など)を布で固定して患部が動かないようにして医療機関を受診してください。
そのとき、きつく固定しすぎると血流が悪化しますので、ご注意ください。
Q4: 複雑骨折とはどんな状態ですか?
折れた骨が皮膚を突き破って外に出てしまう状況を 開放骨折(あるいは複雑骨折)といいます。救急車を呼び、緊急に手術を行うことになります。
Q5: 骨折とヒビはどちらが治りにくいですか?
骨が治るあるいは治りにくい条件はいくつかあります。年齢、ズレの有無、栄養状態、安静度合いなどです。
ですので、骨折とヒビでどちらがというのは、一概には言えず、骨折の治療期間は個人差が大きくなります。
Q6: 骨折を早く治すコツはありますか?
骨折の治療は、安静で完全に体重をかけない時期から徐々に体重をかけて(荷重)動かし始める時期へと変化していきます。
これは医師がレントゲン検査などをチェックしつつ指示していきますが、この安静や荷重が適切に守られないと、骨がズレてくっつかなくなり治療期間が伸び、治療結果も不十分ということになります。
よって、医師の指示に従っていただきたいと思います。
Q7: 骨が折れたか確かめる方法はありますか?
医師がレントゲンで見ても発見するのが難しい骨折もあるので、ご自身で確かめるのは難しいと思います。
ただし、捻挫や打撲だと思っていたけど、1週間経っても腫れや赤み、痛みが軽減しないという場合は、骨折が発生している場合が多くありますので、早めに医療機関(整形外科)を受診しましょう。
気になる痛みや症状があったらお気軽にご相談ください
WEBでお問い合わせ