病気解説

内科

風邪、上気道炎

一般的に発熱などをすると風邪と言われますが、医学的には急性上気道炎と言います。

そして、風邪いわゆる急性上気道炎には、急性鼻炎、急性咽頭炎、急性喉頭炎の3種類があり、種類によって強くでる症状に違いがあります。

急性上気道炎(風邪)とは?

急性上気道炎とは、ほとんどの場合、ウイルスが原因といわれ、最もよくみられる呼吸器疾患の一つです。上気道といわれる鼻腔、咽頭、喉頭に外からウイルスが侵入することで感染します。

急性上気道炎には、急性鼻炎、急性咽頭炎、急性喉頭炎の3種類があり症状がそれぞれ異なります。のどの痛み、鼻水、鼻づまり、くしゃみ、咳が主な症状ですが、ウイルスに感染する場所によって病名が異なり、感染した場所に強く症状がでるのが特徴です。

これらの病気にはウイルスだけではなくPM2.5や黄砂が悪影響を及ぼしていることもあります。

上気道炎は子供から大人まで感染し、年間を通して感染する可能性がありますが、時期としては初秋から晩秋にかけて多く発生します。
通常、1週間程度で徐々に症状は和らいでいきますが、39℃以上の発熱が4日以上続いたり、強いのどの痛みや咳き込みが続いたりする場合は医療機関を受診する必要があります。

急性上気道炎(風邪)の3種類

先程もお伝えしたとおり、風邪と言われる急性上気道炎には、急性鼻炎、急性咽頭炎、急性喉頭炎の3種類があり症状がそれぞれ異なります。それぞれ解説していきます。

急性鼻炎

急性鼻炎とは、鼻の粘膜に生じる急性の炎症のことで風邪ウイルスが主な原因です。鼻が乾燥して、ヒリヒリしたり、違和感を覚えたり、鼻の粘膜が痛いといった症状が特徴的です。

急性咽頭炎(いんとうえん)

急性咽頭炎とはのど(咽頭)の粘膜やリンパ組織に生じる急性の炎症です。

風邪ウイルス(アデノウイルス、インフルエンザウイルス、コクサッキーウイルスなどなど)によるものが多いです。
最初はウイルス感染だけでも、後々、細菌感染が生じることもしばしばあります。

また、最初から細菌感染が起こることもあります。近年はPM2.5や黄砂が悪影響を及ぼしていることもあります。
のどの痛みが強くでる、のどの痛みが耳に伝わって耳が痛く感じるといった症状が急性鼻炎、喉頭炎とは異なります。

急性喉頭炎(こうとうえん)

急性喉頭炎とはのど(喉頭)の粘膜に生じる急性の炎症です。風邪ウイルスによるものが多いです。
最初はウイルス感染だけでも、後々、細菌感染が生じることもしばしばあります。

また、最初から細菌感染が起こることもあります。近年はPM2.5や黄砂が悪影響を及ぼしていることもあります。
喉頭の中でも声を出す声帯に炎症がおきた状態を急性声帯炎と言います。

声がかすれる、 声が出しづらい、のどがヒリヒリするといった症状が急性鼻炎、急性咽頭炎とは異なります。

急性上気道炎(風邪)の症状

急性上気道炎の主な症状はのどの痛み、鼻水、鼻づまり、くしゃみ、咳などが挙げられます。発熱や頭痛がみられることもありますが、それほど強くなく、全く現れない場合もあります。

また、気管支炎が合併すると、膿性の痰が多くなり、発熱・咳の持続、食欲不振、時に下痢や胸の不快感が続く事もあります。

急性上気道炎になるとこれらの症状が全てでるというわけではなく、でる症状や程度には個人差があります。通常、2〜3日で症状のピークを迎えて約1週間程度で自然に治っていきますが、急性上気道炎が悪化し、気管支炎や肺炎まで進行する場合もあります。

39℃程度の発熱が続く場合や鼻水が黄色や緑色に変化したり、咳やのどの痛みが治らなかったりする場合は病院での受診を行いましょう。

発熱

発熱の程度には個人差があり、熱がなかったり、微熱だったりする場合があります。ただし、乳幼児は熱が高くなりやすく、38〜39℃程度まで上がる場合があるので注意しましょう。

鼻水

鼻水は初期状態だと水様(水っぱな)で、2〜3日すると粘膿性のものに変化していきます。

のどの痛み

のどの痛みについてはのどがヒリヒリしたり、違和感を覚えたり、ものを飲み込んだりするときにのどに痛みを感じる、咳や痰が多くでるといった症状があります。

全身症状

全身症状は悪寒、倦怠感や関節痛、脱力感などを感じる場合があり、頭痛や腰痛、下痢、軟便などの胃腸症状が現れることもあります。

高熱が出ている場合は、インフルエンザも疑われますので、その際は速やかに医療機関で受診してください。インフルエンザについてはこちら。

急性上気道炎(風邪)の診断と検査

急性上気道炎は、発熱やのどの痛みが発生した時期や症状の経過などから診断し、基本的に検査は行いません。

通常は医師による問診と診察によって流行時期や症状・身体所見から診断を下し、強く現れている症状に合わせた対症療法が行われます。

ただし、確定診断を行う場合は血液中のウイルス抗体価の上昇をみる血液検査を行います。

急性上気道炎は、自然治癒する病気で、直接効く薬はないため、処方される薬については現れている症状を抑えるものとなります。

急性上気道炎のほかに病気が隠れていないか確認するために検査を行う場合があり、必要によって血液検査、細菌検査、画像検査を行います。

検査項目:検査目的

  • 血液検査:風邪の症状以外での異常がないかどうかの全身の状態を確認します。
  • 細菌検査:尿・痰などに含まれているウイルスの種類を検出します。
  • 画像検査:胸部レントゲン(X線)検査、CT検査などを行い肺炎などの重症化が疑われる場合行われます。

急性上気道炎(風邪)の予防法について

急性上気道炎の予防には手洗いとうがい、マスク着用が重要です。

手洗い

手洗いは手についたウイルスが鼻や口から侵入するのを防ぐ効果があり、指の間、手の甲、爪の間などを意識的に洗うのが効果的です。可能なかぎり石鹸を使用して、最低でも15秒程度行い、手洗い後にはアルコール消毒液を手や指に擦り込むとより効果的です。

うがい

水でのうがいは、風邪が40%減るというデータがあり、流行時期などは重点的に行うことが重要です。

マスク着用

マスクの穴はウイルスよりも大きくウイルスの通過を防ぐ効果は充分ではありませんが咳やくしゃみなどで空気中を漂っている飛沫を直接吸い込んでしまうのを防ぐことはできます。また、マスクの着用には冬場の乾燥した空気を防ぐという効果もあります。

病院で処方される薬について

急性上気道炎の大部分はウイルス感染症なので、抗生物質は効果がありません。
そのため、抗生物質は使用せず基本的には自然治癒を待つという形になります。

罹患した場合は安静を保ち、冬季である場合は保温に努め、急激な温度差は避けて、適切な湿度を保つことが重要です。

発熱がある場合は発汗による脱水症状を防ぐためにこまめな水分補給が必要です。

急性上気道炎の症状がつらい場合は、症状を和らげる治療法を行い、症状に合わせた薬が処方されます。
症状に合わせて処方される主な薬は以下のものになります。

症状:薬品名

  • 発熱・痛み:アセトアミノフェンを含んだカロナール、コカール、アルピニー、アンヒバなど
  • 咳がひどい:メジコンなどの咳止め薬
  • 鼻水が止まらない:抗ヒスタミン薬など

また、免疫で戦うしかないウイルス性のものに対して、そのための薬として注目されているのが漢方薬です。

「漢方薬」と聞くとあまり効かないイメージをお持ちの方もいるかもしれませんが、実は風邪などにはよく効きます。
ただ、体格・体質・症状などによって様々な漢方の中から合うお薬を選ばないといけないので、処方する私たち医師にも知識と経験を要します。

以上のとおり、急性上気道炎になったとき、病院で処方される薬や薬局で購入できる風邪薬などはあくまで発生した症状を抑えるもので、充分な栄養補給、睡眠、安静が最も適切な対処法になります。

ただし、急性上気道炎は、ほかの病気を発症する可能性を上げる場合があるので油断できません。自然治癒がなかなか進まない場合は、病院へ行って医師の診断を受けましょう。

まとめ

以上、本記事では風邪、上気道炎の解説をさせていただきました。

身近に感じられる病気であり、油断をしてしまうといったこともあるかもしれません。
ですが、長く続いている場合や、悪化をしているような場合にはすみやかに病院へ受診しましょう。

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