病気解説
整形外科
膝の痛み
日々の生活の中で、「膝」に違和感や痛みを覚えた経験のある人は多いのではないでしょうか。
膝の痛みには、膝自体の骨などが問題を抱えていえる場合、膝の周りの筋肉や神経に問題がある場合などといった問題が多くあります。
膝の痛みや違和感を覚えたら、早期治療を行うことが大切です。歩けるからなどといって放置しておくと、歩けなくなってしまったり、手術を受けたりする可能性が高くなってしまいます。
膝の痛みの症状と原因
まず、膝の痛みを症状とする代表的な疾患の症状と、その原因を解説していきます。
変形性膝関節症
膝のクッションである軟骨がすり減ることで、関節が変形したり水がたまったりして痛みを生じます。高齢の女性に多くみられます。膝の外傷が原因となることもあります。
症状
関節が炎症を起こしたり変形したりして、痛みや腫れを生じます。
原因
加齢による軟骨の変性が原因となることが多いほか、肥満や遺伝子も関係しているといわれています。
その他にも、外傷(骨折・靱帯損傷・半月板損傷など)や感染(化膿性関節炎など)が原因になることがあります。
オスグッド・シュラッター病
膝のお皿のすぐ下にある骨が、前側に飛び出てくることで痛みを生じます。安静にしていると一時的に痛みは引きますが、運動すると再び痛くなります。
積極的にスポーツをしている成長期の子供によくみられます。
症状
膝のお皿のすぐ下の部分(脛骨結節)には太ももの筋肉がついており、使い過ぎによってその部分がはがれてしまうことで痛みを生じます。赤みや腫れ、熱をともなうこともあります。安静時に痛みが引いても、運動すると再び痛みを生じます。
原因
膝を伸ばすときには、太ももの前側の筋肉を使います。その筋肉の腱がついている脛骨結節が繰り返し引っ張られることで、成長軟骨部がはがれてしまい痛みを生じます。
前十字靭帯損傷
膝を安定させるための前十字靭帯に強い力が加わることで切れてしまい、強い痛みや腫れが生じます。動くと膝がガクガクして安定しなくなります。
症状
受傷時は強い痛みとともに断裂音を感じます。関節の中に血がたまり、腫れと熱をともないます。その後に少しずつ痛みは軽減しても、膝に力が入らない、膝がガクガクする、膝が外れそうなどの症状があります。
原因
多くはスポーツを行っている時に受傷します。ジャンプをして着地した時や、急にストップや方向転換をした時に、膝をひねって前十字靭帯が切れてしまうことがあります。
タックルを受けるなど、外から強い力が加わって切れることもあります。
内側側副靱帯損傷
膝に外から強い力が加わることで、膝の内側を支えている内側側副靭帯が切れてしまい痛みを生じます。同時に前十字靭帯損傷や半月板損傷を起こしている場合もあります。
症状
膝を動かした時に、内側に痛みを生じます。押すと痛く、熱や腫れをともなう場合もあります。動き方によっては、膝がグラグラして不安定に感じます。放っておくと、膝に水がたまることもあります。
原因
スポーツや交通事故により、膝の外側から内側へ強い力が加わったりひねったりすることで、内側側副靭帯が切れてしまうことがあります。
半月板損傷
膝に強い力が加わったりひねったりすることで、関節の中でクッションの働きをしている半月板が損傷し痛みを生じます。同時に前十字靭帯損傷や内側側副靱帯損傷を起こしている場合もあります。
症状
膝を動かした時に痛みが生じます。また腫れたり引っかかりを感じることがあります。損傷がひどい場合には、膝に水がたまったり、膝関節が動かなくなる「ロッキング」という現象が起こって歩行困難になることもあります。
原因
スポーツなどで膝に強い衝撃やひねりが加わると、半月板を損傷してしまうことがあります。また加齢によって半月板が傷つきやすい状態になると、ちょっとした動きや衝撃で損傷してしまう場合もあります。
自分でできる膝の痛みの予防法・対処法
ここでは自分でできる膝の痛みを予防・改善する2つの方法をご紹介します。
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1つ目はストレッチです
関節の痛みは運動で周りにある筋肉を柔軟に保つことが大切です。
ここでは、膝を支える主な筋肉として3つの筋肉。太ももの前側である大腿四頭筋(だいたいしとうきん)、すねの前側である前脛骨筋(ぜんけいこつきん)、ふくらはぎの腓腹筋(ひふくきん)のストレッチ方法をご紹介します。太ももの前側(大腿四頭筋)を伸ばすストレッチ
- 壁に片手をついて立ち、片足の膝を曲げ、つま先をつかみます
- つま先をお尻の方へ引き寄せ、太ももの前側を伸ばします
- 息を吐きながら30秒キープします
- 反対側も同様に行い、左右2〜3セット行います
すねの前側(前脛骨筋)とふくらはぎ(腓腹筋)のストレッチ
- 床に座って両足を伸ばします
- つま先をゆっくりと遠くに伸ばして、すねを伸ばします
- つま先をゆっくりと手前に引き寄せ、ふくらはぎを伸ばします
- 2〜3を10回繰り返します
また、ふじた医院では併設のジムを利用して初動負荷トレーニングを行っております。
膝関節にも有効ですのでぜひご活用ください。 -
2つ目はツボです
膝に痛みには血行促進が有効です。
血流が良くなると、発痛物質が押し流されて筋肉の緊張もほぐれるため、痛みを和らげる効果があるとされています。
東洋医学では、ツボへ刺激を与えて血流を促します。内膝眼(ないしつがん)、外膝眼(がいしつがん)
- いわゆる「膝のお皿」のすぐ下にある外側と内側のくぼみ
委中(いちゅう)
- 膝の裏側中央にあるツボ
梁丘(りょうきゅう)
- 膝の皿の外側にある出っ張った骨から、指3本分上にあるくぼみ
また、ツボに刺激を与え、血行をよくする方法として鍼(はり)、お灸、カイロなどがあげられます。
病院における膝の痛み治療
それぞれの予防法・対処法について詳しく紹介しましたが、痛みや違和感を覚えた場合は、専門医による適切な治療が必要になってくるでしょう。具体的にどのような治療を行うのか、症状ごとに解説していきます。
変形性膝関節症
変形性膝関節症の症状が軽い場合は、痛み止めの内服薬や外用薬を使った治療法となります。
また、関節軟骨の活性化を促すために膝関節内にヒアルロン酸の注射を使うこともあります。
これと同時にリハビリを行います。高齢者の方は、特に自分に合っていない運動を行うことで、余計に悪化させることがあります。
当院では、リハビリ専門の先生と共に、負荷の少ない「初動負荷トレーニングⓇ」などを行い、無理のないリハビリを行います。これらは軽度な状態の治療法となります。
変形性膝関節症が重度の場合には手術が必要となり、手術では変形した骨の切除や人工関節置換術などを行います。その後、リハビリを行い完治に専念していきます。
関節リウマチ
早期治療が肝心とされる関節リウマチは、基本的に薬物療法になります。
一般的には、抗リウマチ剤と非ステロイド性消炎剤を使い、症状によってはステロイド剤、免疫抑制剤、生物学的製剤が用いられます。
手足などの範囲で済むケースが多いですが、症状が悪化して全身に症状が広まった場合には背骨の手術が必要となることがあるでしょう。また、指の仲筋腱が断裂している場合にも手術が必要となります。
関節リウマチは原因不明な点が多く、完治させることは非常に難しい病気です。
症状の進行を遅らせて日常生活を送られるようにするといったことが治療の目的となります。
膝関節靭帯損傷
膝関節靭帯損傷は前述でご説明したようにサポーターをつけて可動域訓練を行います。
サポーターをつけてのリハビリで治ることもありますが、前十字靭帯損傷では手術を必要とするケースが多くなります。手術をする場合には、靭帯修復術と再建術が用いられます。
靭帯の再建術後のリハビリは、リハビリの専門医が症状に合わせて行います。
当院の膝の痛み治療
ふじた医院では、医師の診断に加え、専門のリハビリスタッフによる検査により、膝関節の症状の原因を特定してから一人ひとりにあった対応策を検討しています。
足は、毎日使う大切な身体の一部です。だからこそ痛みや違和感を見逃さず、早めに治療を行うことが大切です。
膝関節靭帯損傷のように怪我を予防することが困難な場合もありますが、予防が可能な膝の怪我も多くあります。必ずしも重症ではないので、きちんと治療を行いましょう。
痛みや違和感がある時は当院に早めにご相談ください。
ふじた医院では、医師をはじめ、専門のリハビリスタッフが常駐しておりますので、お気軽にご相談ください。アクセスはこちら。
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