病気解説
内科
認知症
近年では、社会の高齢化が進み、さまざまな問題と直面しなければならない時代になってきました。そのなかでも認知症は非常に難しい問題であり、年齢を重ねると誰でもなってしまう可能性がある病気です。
「認知症」と「加齢による物忘れ」の違い
人間は年齢を重ねるごとに物忘れが多くなり、「認知症かもしれない」と心配になる方もいるでしょう。
ただ、加齢による物忘れと認知症は全く別のものです。
その症状の違いとして挙げられる大きなものが、「自覚があるかどうか」という部分です。物忘れをしてしまったときに、「忘れてしまって思い出せない」という自身の自覚があれば、それは加齢による物忘れになります。
認知症になると、「忘れてしまって思い出せない」ではなく、「その出来事自体を忘れてしまう」ため、忘れてしまったことに対して自覚がありません。
ほかにも、「体験した物事の一部を思い出せない」ことが加齢による物忘れで、「体験した物事自体を忘れてしまう」ことが認知症、といった区別もできます。
基本的に加齢による物忘れでは日常生活において大きな支障は出ませんが、認知症になってしまうと日常生活を送ることに支障が出てしまうことも多くなります。
認知症を早期発見するには?
物忘れが多くなると「認知症の前兆」とされることがあります。
どこかへ物を片付けたときに、どこにしまったか忘れてしまう、置き忘れなどは物忘れに当てはまるので、頻度が増えてきたら認知症を疑いましょう。さらに、認知症になってしまうと、普段慣れているはずの料理を間違えてしまうことや車の運転を間違ってしまうといった判断力の低下や理解力の低下といったものも見受けられます。
この症状が見られるようになると日常生活に支障を来たしてしまうので、厳重に注意しましょう。普段やっていることにミスが多くなってくるなど見受けられるようになったら周りの人は注意が必要になってきます。
そして、認知症で最も注意すべき症状は人格が変わることです。
ちょっとしたことで怒りっぽくなったり、自分の失敗を周りのせいにしたりといった症状が出てくると注意が必要です。本人の不信感が増し、一人で行動することを不安がったりすることが増えていきます。
認知症は段階的に進んでいくケースもありますが、突然人格が変わったようになることもあるので、普段と様子が変わったと感じたら認知症を疑いましょう。
認知症の種類
認知症と聞くとアルツハイマーを思い浮かべる人が多いでしょう。
しかし、認知症にはさまざまな種類があり、原因もそれぞれ違ってきます。
主な種類としては、アルツハイマー型認知症、レビー小体型認知症、脳血管性認知症が挙げられます。
これらの種類は、三大認知症といわれており、数ある種類のなかでも、発症する人が多い傾向があります。
アルツハイマー型認知症
記憶を司る海馬と言う部分を中心に頭頂葉まで広範囲で脳が萎縮し、起こる認知症です。
主に記憶障害や、日付や時間、場所などを認識する力である見当識に障害が起こり、判断力や理解力の低下などの症状が現れます。アルツハイマー型認知症の発症率は50%となっており、最も発症する人が多い認知症でしょう。
レビー小体型認知症
海馬から視覚を司る後頭葉までの血流が悪くなることにより機能低下して起こる認知症です。
症状として、幻視を訴えたり睡眠障害を訴えるケースが多く見られます。レビー小体型認知症の発症率は20%となっており、アルツハイマー型の次に発症する人が多い認知症になります。
脳血管性認知症
こちらは脳梗塞や脳出血など、脳内の血管に異常が起こり発症する認知症です。
脳梗塞を起こした人に多く見られる認知症で、脳梗塞のダメージによって症状の大きさは変わってきます。脳血管認知症の発症率は15%で、三大認知症のなかでは最も発症する人が少ない傾向にあります。
認知症の予防法や治療法
一度認知症になると、治療法は何なのかと気になる人は多いでしょう。
現在の医学では、認知症を完全に治すことは残念ながらできません。しかし、その進行を遅らせたり緩和させることは可能です。
現在では薬物療法やリハビリテーション療法が認知症の主な治療手段となります。
薬物療法では、抗認知症薬による治療を行い、認知症の抑制を図ります。
主な治療薬としては、アセチルコリンエステラーゼ阻害薬やNMDA受容体拮抗薬が挙げられます。薬物治療を行う際には高確率で副作用が現れるので、本人の体調や状況を考えた上で治療を実行しましょう。
リハビリテーション療法には主に理学療法と作業療法があります。
このなかに、簡単な計算などをする認知リハビリテーション、脳に刺激を与え自発性を高める音楽療法、芸術療法、園芸療法などがあります。
さらに昨今では動物と触れ合うことで認知症の抑制になるとされ、アニマルセラピーの効果も注目され、導入する施設が増えてきています。
ただし、これらの治療はあくまで認知症の進行を遅らせる抑制の役割しか果たせません。ゆっくりと認知症は進んでいきますので、家族の適切な対応が望まれます。介護する側になるとストレスが溜まり本人に対して声を荒げてしまうこともあると思いますが、逆効果になります。なので、しっかりと認知症であることを受け止めて日々の対応をしていくことが大切です。
当院の認知症外来
ふじた医院には、理学療法士と作業療法士がいるので、認知リハビリテーションなどの認知症の治療を行うことができます。
理学療法や作業療法だけでなく、薬物治療も行って、認知症の進行を少しでも抑えられるように治療を進めます。
気になる痛みや症状があったらお気軽にご相談ください
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