病気解説

整形外科

むちうち

首の痛みをはじめ、肩や背中の凝り、指先の麻痺などに悩んではいませんか?そんなときには「むちうち」の可能性があります。

「むちうち」は交通事故などによって起こる症状で、「頸椎捻挫(けいついねんざ)」とも呼ばれています。
事故の後、数日間あまり症状が出ないケースもあり、そのまま放っておくと症状が悪化したり、後遺症が残ってしまう場合もあります。

むちうちの仕組みと症状

むちうちは衝撃を受けた際に、頸椎に損傷を防ぐために反射的に筋肉が緊張することによって起こります。衝撃がより大きいと、筋肉が部分断裂したり、じん帯が損傷して症状が重くなります。

軽度のむちうち症状

むちうちの7~8割程度は捻挫型のむちうちで「頸椎捻挫」と診断されます。これは首の筋肉やじん帯、また関節を包む組織である関節包を損傷するものです。
また軽度の「頸椎捻挫」の場合「頸椎捻転」と診断されることもあります。
これらは、適切な治療を行えば、後遺障害を引き起こすことは少ないといわれていますが、症状が軽いからと言って放っておくと症状が悪化する恐れがあります。

頸椎捻挫

むちうちの大半を占める「頸椎捻挫」では、首を動かすと痛みを感じたり、稼動範囲が狭くなったりするなどの症状が現れます。痛みを感じるのは首の後ろや首の前面、側面、頭部、頸椎などで、首や肩上部、背中などに凝りの症状が出る場合もあります。

また、頭部は体重の10%もの重量があるため、これを支えている首に起こる頸椎捻挫は、手や足の捻挫や挫傷と比較すると、回復に長期を要することが少なくありません。

頸椎捻転

「頸椎捻挫」は、頸椎の周囲の筋肉やじん帯といった軟体組織が損傷を受けた状態ですが、「頸椎捻転」の場合、組織の状態は回復しており、炎症だけが残っている状態です。

重度のむちうち症状

重度のむちうちでは神経系まで損傷が届いてしまうこともあり、損傷してしまった神経によって様々な症状が引き起こされます。
これら神経系のむちうちは大きく分けて「神経根損傷」、「自律神経障害型」、「脊椎損傷型」の三つがあり、これらは単独で発症することは少なく、多くの場合は複合で現れます。

神経根損傷型

神経根損傷型は根症状型とも呼ばれ、衝撃などでずれてしまった首の骨が、骨の中を通っている神経を圧迫してしまっている状態で、神経の伝達が阻害され以下の症状を引き起こします。

  • 首や手足の痛み
  • 痺れ
  • 筋力の低下
  • 後頭部の痛み
  • 顔面痛 など

自律神経障害型

自律神経障害型はバレ·リユウー症状型とも呼ばれます。神経根損傷型と似ていますが、損傷をうけた神経が自律神経だった状態を指します。 自律神経は自分の意志以外で働く神経のことで、自律神経が損傷されるとこれらの症状が引き起こされます。

  • 耳鳴り
  • めまい
  • 吐き気
  • 不眠症
  • だるさ

脊髄損傷型

脊髄損傷型は脊髄症状型とも呼ばれます。脊髄を損傷する脊髄損傷型はむちうちの中で最も深刻な状態で以下の症状を引き起こします。

  • 筋力の低下
  • 身体の麻痺
  • 知覚障害
  • 歩行障害

むちうちの最も多い原因は交通事故によるものですが、事故は起きなくても急ブレーキやスポーツでも起きる症状です。急ブレーキやスポーツの後で実際に首に異変を感じた際はむちうちかもしれません。

交通事故によるむちうち

むちうちは自動車の衝突事故で起こることが多く、衝突の衝撃で首が鞭のようにしなって重い頭部が振られ、首の骨、つまり頸椎が損傷するものです。
特に、追突事故の場合には、追突された側に乗車していると、体は進行方向に移動しようとしますが、頭は元の位置にとどまろうとします。
このとき、首は「く」の字になってしまい、頭が後ろに反る状態となります。これを医学的には過伸展といいます。

次に、この反動によって、頭は前方に振られ、首は反対方向にしなります。これを過屈曲といいます。

正面衝突の場合は一連の動きが反対になりますが、どちらの場合も頭を支える首に大きな負担がかかり、頸椎の関節が損傷してしまいます。

スポーツによるむちうち

むちうちはスポーツによっても引き起こされることがあります。
特にサッカーやラグビー、アメリカンフットボールといった激しいコンタクトを伴うスポーツで起こりやすいようです。程度は追突された方向や速度、力によって異なりますが、最悪の場合には頸椎骨折や頚髄損傷といった事態にいたることもあります。

スポーツで起こるむちうちは、体が衝撃を受けた数時間後、または数日後に痛みが現れることも少なくありません。

自分でできるむちうちの痛みの対処法

むちうちには、症状が現れ始める「急性期」と損傷が完治した後にも症状が続く「慢性期」という2つの期間があります。

急性期のむちうち

急性期にはとにかく安静を保つことが大切です。急性期では、ストレッチや運動などを行うと症状を悪化させる可能性がありますので、自分なりにセルフケアをするといった行為は避けたほうがよいでしょう。痛みが強い時は患部をアイシングしてもかまいません。

慢性期のむちうち

慢性期はセルフケアを行うのに適した期間といえます。自宅で手軽にできるセルフケアの方法は、頭の右側を右手の平で押さえ、右の手の平で頭を左側にゆっくりと倒し、5秒間キープするといったストレッチが効果的です。同じ動きを左側でも行います。
また、慢性期ではアイシングは逆効果となるので避けましょう。逆に蒸しタオルやオンシップなどで患部を温め血行を促進することで幹部の筋肉の修復を早める効果が期待できます。

ただし、誤った知識でセルフケアを行うと、かえって症状を悪化させることになりかねないので注意が必要です。
また、セルフケアでできることは限定的であることもきちんと理解しておきましょう。

むちうちは早期治療が大切

むちうちの症状として捻挫型と神経系型があることには触れましたが、近年知られるようになった症状として、「脳髄液減少症」があります。脳は非常にデリケートな器官であるため、脳脊髄液と呼ばれる液体の中に浮いていることで外部からの衝撃を軽減させています。

ところが、脳脊髄液を包んでいる膜が破れ、脳脊髄液が漏れてしまうと脳全体が沈み、負担がかかります。すると、全身の痛みや聴力、視力、味覚の障害などが起こることがあります。

このような症状が起こる「脳髄液減少症」ですが、首の筋肉や神経の異常が原因と診断されがちで、発見が遅れることがあります。このためむちうちとしての治療を受けてもあまり効果がない場合には、早期に専門医の常駐する医療機関でMRIなどによって専門的な診断受け、早期発見することが大切です。

病院でのむちうちの痛みの治療

むちうちの場合、頸椎捻挫などの軽症から、神経や脳ダメージを負っているような重症のものまで、症状がさまざまなため、レントゲンやMRIといった検査機器が充実している整形外科を受診するようにしましょう。

また、むちうちは、受傷直後は痛みや不調を感じないケースが多いことから、受傷の状況を細かく医師に伝え、きちんと診断してもらう必要があります。

治療方法としては、初期には筋肉を冷やし、痛みがある場合には痛み止めの薬を服用します。その後、首のけん引や温熱療法が中心となり首の負担を軽くするために、頸椎カラーをつけることもあります。

このとき、医師の指示の下でリハビリテーションや物理療法を行い、運動能力の回復を支援する専門職である理学療法士(PT)や、同じく動作能力又は社会的な適応能力の回復を支援する専門職である作業療法士(OT)などが常駐している医療機関であればその後の治療もより効果的に進めることができます。

ふじた医院のむちうち治療について

「むちうち」は事故から数日後症状が現れるケースや、本人が自覚していないケースが多くあります。

しかし、それは放っておくと症状が悪化したり、後遺症が残ってしまうことがあります。軽い事故や急ブレーキ、スポーツ後などから身体に異変を感じたら、当院を受診してください。当院では、専門医が診断・治療を行い、理学療法士が患者様の症状に合ったリハビリテーションを行っています。

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