病気解説
整形外科
蜂窩織炎(手や足が腫れて痛い場合)

足や手が赤く腫れて痛い!
それは蜂窩織炎(ほうかしきえん)という細菌とむくみを原因とする感染性の炎症かもしれません。
放っておくとどんどん炎症が広がっていき、痛みだけでなく、組織の壊死などにつながるため、できるだけ早い治療が必要です。
年齢を問わず発症する病気です。
こちらでは、蜂窩織炎に関する詳しい説明と治療法、予防法までお伝えします。
蜂窩織炎とは
蜂窩織炎(ほうかしきえん)とは、身体のすき間から細菌が体内に侵入することで、足やふくらはぎ、指先や腕などに感染性の炎症が起きる病気です。
誰の皮膚にも存在する細菌(常在菌)が、足や手のちいさな傷から身体に入り込んでしまい、そこで増殖して炎症が起きます。
細菌は、身体の中でも空間がある場所(皮下組織)で増殖していきますので、足先や手先から始まった炎症がどんどん上へ(中枢へ)広がっていくという特徴もあり、放置していると、炎症が強くて歩けない、皮膚が壊死する、血管の中にまで細菌が入り込む(菌血症)といった重症にいたり、場合によっては入院が必要になる命にかかわることもある怖い病気です。
また、再発することも多い病気ですので、予防法を知っておくことも大切です。
蜂窩織炎はどんな症状があるか?
部位に関わらず、痛み、腫れ、赤み、熱感のいずれかがあれば疑ってください。そして医療機関(何科を受診するかは後述)を受診してください。
進行している場合には、水ぶくれができ、そうなると痛みや腫れで患部を動かすこともできなくなる場合もあります。
最も身近な例としては、ひょう疽(ひょうそ)です。
手荒れにより皮膚のバリア機能が弱まっている部分から細菌が侵入し、爪周りが赤く腫れて膿む病気がありますが、これも蜂窩織炎の一つです。
蜂窩織炎になる原因は?意外なハイリスクとは?
原因はズバリ、皮膚のバリア機能の低下です。そして、意外な落とし穴がむくみです。
通常、皮膚には外敵から身を守るため、強いバリア機能があります。
しかし、水虫、手荒れ、足の乾燥、ケガをして傷がある、火傷、湿疹やアトピー性皮膚炎などの皮膚疾患がある方は、皮膚のバリア機能が低下しているため、外敵(細菌)が入りやすい状態になっています。
原因菌はブドウ球菌など、皮膚の常在菌で、通常は皮膚バリアに守られて、体内に入り込むことはなく、問題ありません。
しかし、皮膚の傷からそうした細菌が体内に入ると、体内で免疫機能が働き、強い炎症がおきます。
さらに、そこにむくみがあると、細菌が増殖しやすい空間があるということになるので、
蜂窩織炎を発症しやすい、また、症状が重くなりやすいのです。
よって、体のむくみを放置している方も要注意です。
そして、最も注意が必要なのは、感染症ですので、免疫が低下している方です。
高齢者の方や免疫を抑える薬を飲んでいる方は、特に皮膚の保湿など、肌ケアとむくみ対策が非常に大事なのです。
何科を受診したらいいの?
皮膚から始まるトラブルではありますが、感染は皮下組織に及び、場合によっては排膿の手術やレントゲン検査が必要な場合もありますので、整形外科の受診をおすすめします。
症状によっては入院加療が必要な場合もありますので、入院施設のある医療機関ですと、より安心でしょう。
治療法
抗菌薬を内服し、場合により抗菌薬の入った外用薬も用います。
皮膚に傷がある場合は消毒し、さらに、膿がたまっている場合は小切開を加えて排膿する必要もあります。
また、原因が水虫など皮膚疾患によるものと判断できる場合は、原因となった皮膚疾患も同時に治療していきます。
さらに、蜂窩織炎の特徴は、むくみのある場所で起きやすい・重症化しやすいということです。
よって、ふじた医院では、抗菌薬の投与だけでなく、漢方薬も用いて、むくみや炎症を取り除いていくという治療も行います。
そうすることで、炎症の拡がりを抑え、1日も早い治癒を目指します。
予防法
①肌ケア
蜂窩織炎の原因は皮膚の傷から細菌が侵入することです。
よって、肌の保湿や水虫などの皮膚疾患の治療をこまめに行い、肌のバリア機能を高めておくことが最も効果的な予防法です。
足先は体の遠い部分なので見落としがちですが、保湿剤などを用いてしっかりケアしておきましょう。
肌の保湿に関しては、保湿剤の処方だけでなく、漢方薬も効果的で、ふじた医院では、お肌の乾燥に対する総合的な治療を行っていますので、お気軽にご相談ください。
②むくみケア
蜂窩織炎に何度もなる、重症化を防ぎたいという方は、日ごろのむくみ対策が重要です。
足のむくみはあらゆる病気のサインでもあります。
心臓、腎臓、リンパ管、動脈・静脈など、身体のどこかに異常が生じているサインでもありますので、蜂窩織炎の予防というだけでなく、むくみを放置せず、医師の診察を受けましょう。
③免疫力アップ!
蜂窩織炎は感染症ですので、体の免疫機能が低下したときに発症しやすくなります。
よって日ごろから、適度な運動や食べすぎなどに注意し、ご自身の免疫力を高めておく必要があります。
もし、加齢とともに風邪をひきやすくなった、帯状疱疹にかかったことがある、などご自身の免疫機能に自信がもてない方は、ふじた医院にご相談ください。
漢方薬治療によって、免疫を高め体質改善を図る治療を行っております。
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よくあるご質問
Q1: 様子をみていれば自然とおさまりますか?
自然とよくなることはほとんどありません。
蜂窩織炎は表面的な傷と違い、身体の奥深い血流の悪い場所(免疫が届きにくい)で細菌が増殖していくので、様子をみていても自然とよくなることはほとんどありません。
そのため、医療機関での抗菌薬の投与や手術などの治療が必要です。
Q2: 治療しつつ仕事は続けられますか?
症状の重症度にもよりますが、患部を動かすことができ、抗菌薬の内服で治癒が見込める場合は、通院治療が可能ですのでお仕事も可能です。
ただし、できるだけ患部を安静にし、むくみの出ないような過ごし方が必要です。
Q3: 人にうつる感染症ですか?
健常者に対してはうつることはありません。
ただし、蜂窩織炎の原因が水虫など真菌感染による傷だった場合、水虫自体は他者に感染する病気ですので、早めに、根気よく治療しておくことが重要です。
Q4: 痛風との違いは何ですか?
痛風も蜂窩織炎も足先などが赤く腫れ、強い痛みを伴うため初期症状は似ています。
痛風は内科的病気であり、日ごとに改善していくことが多いのに対し、蜂窩織炎は細菌感染なので、日ごとに悪化していくのが一番の違いです。
初期症状は似ていますのでご自身で判断せず、腫れや痛みが出たら、必ず医療機関を受診しましょう。
気になる痛みや症状があったらお気軽にご相談ください
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