病気解説
整形外科
股関節の痛み
股関節の痛みを感じると、座る、歩くなど、さまざまな場面で支障がでることがあり、その原因や対処法を知りたいと感じている人も多いのではないでしょうか。
この記事では、股関節の痛みに関係する病気や原因などについて解説していきます。
また、今すでに痛みがある場合は医師の診察を受けるコトをおすすめします。ふじた医院では、医師をはじめ、専門のリハビリスタッフが常駐しておりますので、お気軽にご相談ください。アクセスはこちら。
股関節の痛みと原因
痛みの原因
関節が痛い場合、原因として、関節が炎症を起こす「関節炎」が考えられます。
股関節は胴体と脚を繋ぎ、体全体を支える関節です。胴体(骨盤)側の丸いくぼみに、脚(大腿骨)側の球体の骨がはまり込む作りをしていて、骨の間にある軟骨がスムーズに動く手助けをしています。しかし、加齢や肥満、過度な運動などが原因で、負担がかかると、軟骨はすり減っていきます。
衝撃を吸収するクッションである軟骨が減り、硬い骨同士がゴリゴリと擦れてしまい、関節炎(痛み)が起こります。
痛む部位
足の付け根が痛い、お尻が痛い、骨盤が痛いなど、股関節辺りの痛みでお悩みの方は、どんな痛みなのか確認しましょう。
まずは痛むところを確認しましょう。
- 足の付け根
- 太もも
- 骨盤
- お尻
- ひざ
痛むタイミング
- 歩くと痛い
- 階段の昇り降りが痛い
- ランニングやサッカーなど運動すると痛い
- 産後で股関節が痛い
痛みの特徴
- 左だけ(右だけ)痛い
- 左右どちらも痛い
上記のような痛みを感じる場合は、股関節や腰に原因がある可能性が高いです。
股関節の症状として最も多いのが「変形性股関節症(へんけいせいこかんせつしょう)」。進行度によって手術の必要が出てくるため、まずは症状を自覚することが重要です。
股関節の病気
股関節の病気は、大きく4つに分けられます。
- 変形性股関節症
- リウマチ性股関節症
- 骨頭壊死
- 大腿骨頚部骨折
このうち、最も多いのが変形性股関節症です。
変形性股関節症
変形性股関節症とは、文字通り関節が変形して壊れてくる状態のことを表します。ひどくなると球形の関節面が消失し、スムーズな動きを阻害します。
「股関節が痛い」と言って来院される方のほとんどが、この変形性股関節症です。
リウマチ性股関節症
関節リウマチやその類似疾患によって、関節が破壊されます。最終的には、変形性股関節症と同様の状態になるため、治療法も変形性股関節症と同様です。
骨頭壊死
大腿骨頭と呼ばれる大腿骨側の骨の中が壊死(血液が通わない)状態になります。様々な原因がありますが、直すことはほぼ不可能であり、厚生労働省が難病指定としている疾患であります。
最終的には骨頭がつぶれて消失することが多いです。
大腿骨頚部骨折
転倒などがきっかけで、大腿骨頚部を骨折することを指します。多くは高齢者に生じますが、強い外傷が加わると若い方でも骨折することがあります。
骨折自体は治療を施せば治りますが、大腿骨頭への血行が阻害されるため、骨頭壊死と同じ経過をたどることとなります。
変形性股関節症
先にも述べた通り、症状として最も多いものが変形性股関節症です。
そこで、次は変形性股関節症について詳しく見ていきましょう。
症状
股関節症の主な症状は、関節の痛みと機能障害です。股関節は鼠径部(脚の付け根)にあるので、最初は立ち上がりや歩き始めに脚の付け根に痛みを感じます。
関節症が進行すると、その痛みが強くなり、場合によっては持続痛(常に痛む)や夜間痛(夜寝ていても痛む)に悩まされることになります。
一方日常生活では、足の爪切りがやりにくくなったり、靴下が履きにくくなったり、和式トイレの使用や正座が困難になります。また長い時間立ったり歩いたりすることがつらくなりますので、台所仕事などの主婦労働に支障を来たします。階段や車・バスの乗り降りも手すりが必要になります。
原因と病態
患者さんの多くは女性ですが、その場合原因は発育性股関節形成不全の後遺症や股関節の形成不全といった子供の時の病気や発育障害の後遺症が主なもので股関節症全体の80%といわれています。
最近は高齢社会となったため、特に明らかな原因となる病気に罹ったことが無くても年齢とともに股関節症を発症することがあります。
診断
診断は上記の症状がある場合、単純X線(レントゲン)写真を撮って確定します。
ごく初め(前期関節症)では関節がきゃしゃであったり変形しているだけですが、関節症がすすんで初期関節症になると、関節の隙間が狭くなったり(軟骨の厚さが薄くなる)、軟骨下骨が硬くなったり(骨硬化)します。
さらに進行期関節症、末期関節症となると、関節の中や周囲に骨棘とよばれる異常な骨組織が形成されたり、骨嚢胞と呼ばれる骨の空洞ができたりします。
最終的には体重がかかる部分(荷重部)の関節軟骨は消失し、その下にある軟骨下骨が露出します。
問診や診察などのあとで、股関節の可動域制限やX線写真をみて診断します。
必要に応じてCTとMRIなどの検査を行います。
予防と治療
関節は一生に一個しかありませんので、本症と診断されたらまず負担を減らして大事に使うということが大切になります。
初期のうちでしたら、どのような使い方をすると痛みが強くなるかよく自分自身の関節の調子を観察していただき、“日常生活”と“痛みを悪くしない使い方”をよくマッチさせることが大切です。
痛み止めの薬を使うことも選択肢に入りますが、できれば調子の悪い時やどうしても負担をかけなければならない時に限定して使うほうが良いと思います。またもし過体重があるようでしたらダイエットも考えてください。心理的抵抗がなければ杖の使用もお薦めします。
一方、痛みがあるとどうしても歩かなくなり筋肉が衰えてしまいますので、できれば水中歩行や水泳(平泳ぎを除く)を週2、3回行っていただくと理想的です。運動療法はその他の方法もありますが、運動療法はどうしても疼痛を誘発してしまう可能性がありますので、慎重に始めて徐々に強度を高めていくことがポイントです。
これらの保存療法でも症状が取れない場合は手術療法を考えます。初期のうちでしたら自分の骨を生かして行う骨切り術の適応ですし、関節の変形がすすんでいる場合は人工股関節手術の適応となります。
治療タイミングの目安
治療のタイミングは、「股関節の痛みから解放されたい」と思った時です。
おおまかな目安として、下記のポイントが当てはまるなら、十分治療を検討するタイミングでしょう。
- 夜に痛みで目が覚める
- かがんで靴下が履けなくなった
- 短時間の家事でも痛い
- 買い物帰り、重いものが持てない
- 歩く時に足を引きずる
- 足の長さが左右で違う
痛みを和らげる
ただ、股関節の痛みを発症したとき、仕事や診察時間の都合などですぐに病院を受診できないこともあるでしょう。
そのような場合、少しでも痛みを緩和するためにはストレッチや運動が有効です。
股関節のストレッチ①
右足のみ立膝をつき前方に体重をかけた状態で、左の足を後方に伸ばし10秒ほどキープします。
その後、反対側の足に替えて同様に10秒キープします。
足を伸ばす際には深呼吸をしながらキープするのがポイントです。
なお、痛みを感じる場合は無理をせず、徐々に体重をかけていきましょう。
股関節のストレッチ②
床に座った状態で両足を開き、左右の足の裏を合わせます。
深呼吸をしながら足を体に引き寄せるようにして20秒ほどキープします。
このとき、背筋をしっかりと伸ばしながらキープすることを心がけましょう。
もし、股関節が固く座った状態で足の裏を合わせられない場合には、仰向けに寝た状態でストレッチをしてみてください。
治療方法
最後に整形外科で用いられる主な治療方法として以下の代表的なものをご紹介します。
リハビリ・運動療法
体重増加や運動不足によって股関節の痛みが生じている場合には、理学療法士の指導のもとリハビリや生活習慣の改善指導などが行われます。
ただし、リハビリや運動療法は症状が軽度な場合や手術からの回復具合にもよって変わるため、医師や理学療法士の判断が不可欠です。
初動負荷トレーニング®
初動負荷トレーニング®とは、身体に無理のない範囲で負荷をかけるトレーニングのことです。一般的なウェイトトレーニングに比べて、負荷は小さいですが、そのぶん安全に行え、筋力アップとストレッチ効果を期待できます。
ふじた医院では、初動負荷トレーニング®によるリハビリや運動療法も行えます。
超音波治療
超音波治療とは、特殊な医療器具で患部に超音波を当て、異常がある組織を修復させる治療方法です。
主に筋肉や靭帯などの異常が認められる場合に用いられることが多く、関節リウマチにも効果が期待されます。
ヒアルロン酸注射
股関節の痛みを緩和する目的として、ヒアルロン酸注射が選択される場合もあります。
ヒアルロン酸だけを処方するというよりも、鎮痛薬と一緒に投与することによって、組織の回復と抗炎症作用によって股関節の機能を回復させます。
再生医療
再生医療とは、損傷した組織の一部を回復させる治療方法のことです。
自分自身の組織や血液から抽出された成分を注射するため副作用のリスクが低いことがメリットです。
再生医療には脂肪幹細胞治療やPRP療法、PFC-FD療法などが存在します。
体外衝撃波治療
体外衝撃波治療とは、その名の通り患部の上から衝撃波を与える治療法です。
1回あたりの治療時間がわずか10分程度と短いことが特徴で、一定期間にわたって複数回治療を行います。
さまざまな炎症を回復する効果が期待されるほか、初期段階の骨壊死にも有効とされています。
ハイドロリリース
ハイドロリリースとは筋膜リリース注射ともよばれ、癒着した筋膜を剥離することで痛みや痺れを緩和する治療法です。
エコー検査をしながら痛みの原因箇所を特定し、注射をする部位を特定することが一般的です。
手術
リハビリや注射、再生医療といった治療法でも改善が見込めない場合、最終的には手術が用いられることもあります。
たとえば、変形性股関節症の治療にあたっては、「内反骨切り術」や「外板骨切り術」、「人工股関節置換術」などが適用されます。
ふじた医院の股関節治療
股関節の痛みの原因を治療するには、運動療法をはじめ、手術が行われることもあります。 また、規則正しい生活を取り戻すために、肥満解消や筋力の向上までもサポートします。隣接しているジムでは、初動負荷トレーニング®を行えます。
初動負荷トレーニング®とは、身体に無理のない範囲で負荷をかけるトレーニングのことです。一般的なウェイトトレーニングに比べて、負荷は小さいですが、そのぶん安全に行え、筋力アップとストレッチ効果を期待できます。
また、理学療法士・作業療法士がいるので、筋力アップだけでなく、肥満解消のための栄養バランスに関するサポートも全面的に受けられます。
気になる痛みや症状があったらお気軽にご相談ください
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