病気解説

内科

虫刺され

夏休みの時期になると公園やテーマパーク、登山や高原、キャンプなどのアウトドアなど各種レジャーにお出かけする方も多いでしょう。

野外での活動において気になるのが「虫」です。特に、夏場は「虫」も人間と同様に活発に動き回る時期です。

外で虫に刺されて、腫れてしまったり、傷口がかゆくなったりすると、とても厄介です。

虫刺されの原因になる虫

虫刺されは以下の虫たちを原因とします。

特に夏場は、寝ている時に高速で飛び回る蚊は刺されるだけではなく、その羽音も不快になるものです。
「蚊」は私たちの血液を吸います。血を吸うことにより栄養を摂取したいからです。吸血をする「蚊」はメスだけで、オスが血を吸うことはありません。

ダニ・ノミ

とても小さい虫ですが、ダニ・ノミも人を刺します。
人を刺すダニの種類はマダニやイエダニとなります。「蚊」と同様に吸血をします。
ノミはペットの犬、猫によく潜んでいます。体表に寄生することにより生きているのです。
ノミも同じく人の皮膚に移り吸血する虫です。

ブヨ(ブユ・ブト)

こちらも蚊と同じく吸血します。
ブヨの血の吸い方は蚊のそれとは違い、人間の皮膚を噛みちぎり血を舐めます。
通常の蚊の3倍くらいはかゆいと感じると言われています。

尻尾に針を持っており毒針から毒液を飛ばします。
刺されると痛いのが蜂です。
特にスズメバチは攻撃性・毒性が高く、胴体も巣も他の種類の蜂より大きいです。

ムカデ

ムカデに噛まれると、強い痛みを感じることが多いです。

刺された箇所は赤く腫れ、しばしば2つの小さな傷跡が見られます。これらはムカデの毒針(鋏角)が皮膚に刺さった跡です。
ムカデの噛み跡の周囲にはしばしば赤みが広がり、ここには痛みと腫れが伴います。

場合によっては、全身的な症状(頭痛、悪寒、発熱、吐き気)が現れることもあります。

その他、針を持っている虫としてはアブ、毛虫などの虫もいます。

虫に刺された場合の治療方法

虫に刺された場合の治療方法としては主に次の2つになります。

炎症を抑える治療

かゆみ等のアレルギー反応を抑える治療です。炎症を抑えるのには「ステロイド」を使用します。ステロイドは炎症を抑えるだけでなく、炎症を沈め発赤・腫脹・熱感・疼痛を和らげます。

ステロイドの使い方には注意が必要です。強さによって様々なものがあるので症状によって適切なものを選びましょう。

またステロイドのデメリットとしては炎症を抑える代わりに免疫力を下げてしまうことがあります。

かゆみを抑える治療

「抗アレルギー薬(抗ヒスタミン薬)」を用い症状を抑えます。
抗ヒスタミン薬は外用剤と塗り薬があります。かゆみが一部の部分だけであれば、塗り薬で十分です。

虫に刺されて痛い、腫れているといった状態になったらすぐに病院に行きましょう。
場合によっては救急車を呼ぶ必要もあります。

腫れやかゆみが起こる仕組み

虫が皮膚を刺したり咬んだりしたときには、虫が持っている毒成分・唾液成分が抗原(アレルゲン)となってからだの中の抗体と反応し、ヒスタミンなどのかゆみの原因物質が分泌されてかゆみや炎症などの皮膚炎を引き起こします。

つまり多くの虫さされで見られる「かゆみ」は、虫の毒成分などに対するアレルギー反応の一つなのです。

また、毒成分が注入されるときの物理的な刺激や、皮膚に注入された物質の化学的刺激によって、炎症が生じます。これが虫さされの「痛み」の原因です。

このような症状は年齢や刺された頻度、体質による個人差が大きいものですが、一般的にアレルギー体質の人は症状が強く出るといわれています。

虫刺されの症状

虫さされでみられる症状は、おもに以下のようなものです。

かゆみ

皮膚に注入された毒成分や唾液成分に対するアレルギー反応によっておこる症状。
搔き壊すと皮膚が傷つき、黒ずんでしまう(色素沈着といいます)こともあります。

赤み

刺激反応やアレルギー反応により、皮膚が炎症をおこして赤くなる症状。

痛み

虫が皮膚をさしたり咬んだりすることで生じる症状。
虫が皮膚に注入する物質によっても痛みを感じる場合があります。

腫れ

刺激反応やアレルギー反応により、皮膚の一部がふくらむ症状。
虫の種類によっては、激しい痛みをともなう場合もあります。

水ぶくれ

虫にさされてからしばらくして、皮膚のなかに透明な液体が溜まって盛り上がる症状。
かゆみをともなうことが多いため、つい掻きたくなってしまうかもしれませんが、水ぶくれを掻くと皮膚が破れ、なかに溜まっていた液体が患部の周囲の皮膚に広がることでかぶれたり、ただれたりする場合もあります。

アナフィラキシーショック

「虫刺され」の症状として怖いのが、アレルギー反応です。

これはアナフィラキシーショックとも言われ、症状を強く受けた場合は最悪の場合は、ショック死してしまうこともあり、侮れません。

単なる「虫刺され」だと思って放っておくと、取り返しのつかなくなる場合もありますので刺されたら放置せず、早急に的確な対処を心掛けましょう。アナフィラキシーショックなどが起こるのは稀ではありますが、これは個人の体質により違いがあります。

小麦や蕎麦粉などのアレルギーをお持ちの方がおられるように、特有の何かに反応してしまう症状です。虫刺されにより、虫から出された何かしらの成分に反応してしまう場合もあり注意が必要となります。

アナフィラキシーショックの症状は、皮膚のみではなく全身に反応してしまうことが怖いです。

具体的な症状としては以下のような状態となります。

  • 気管が締まり呼吸不全となる
  • 意識レベルが低下する
  • 血圧が下がりすぎてしまう

特にハチ毒によるアナフィラキシーショックは、刺されてから約10分ほどで致命的となるほどリスクがあります。

このようなことが起こり得ることから、特に小さいお子さんなどは注意が必要です。

小さなお子様は、公園などで遊ぶ時や、草むらに入ったりする時には刺されることも多いので、大人の方は目を離さないようにしましょう。

アナフィラキシーショックなどの異変を感じたらすぐに病院で受診しましょう。

ふじた医院へのアクセスはこちら。

予防について

虫に刺されない・かまれないためには以下を心がけましょう。

露出を減らす・虫よけスプレーを携帯する

露出している箇所を吸血する蚊やブヨや、触れるだけでかぶれる毛虫との接触を防ぐため、外出時は肌の露出を減らしましょう。

とくに春から夏にかけて、薄着になる時期に虫は活発になります。

庭仕事やアウトドアでのレジャーの際は長袖シャツや長ズボンを着用するなど、皮膚を覆う服装を心がけてください。

外出前には虫が嫌う成分が配合された虫よけスプレーをつけ、外出時にも携帯するとよいでしょう。

室内を清潔に保つ

ノミやダニの発生を防ぐためにも、日頃から定期的に室内の掃除を行いましょう。

とくに寝具のなかは湿度もあるため、ダニが発生しやすくなっています。

布団乾燥機を使ったり、まめに天日干しをするなど、ダニの温床にならないように心がけましょう。

シーズンごとに布団を丸洗いするのもよいでしょう。

虫に近寄らない

虫さされの被害を予防するためには、庭や公園、山野など、原因となる虫が生息する場所に近寄らないことも大切です。

草むらや植え込みには毛虫やマダニなどが潜んでいることもあるので、むやみに近寄らないようにしましょう。

蜂や蜂の巣にも注意が必要です。

とくに蜂の活動が活発になる夏から秋にかけて、蜂や蜂の巣に遭遇した際は刺激しないように、慌てず静かにその場を離れてください。

応急処置・対処法

万が一虫刺されにあった場合の対処として以下のものがあります。

患部を流水で洗い清潔にする

虫にさされたり、咬まれたりした場合、触れたり掻いたりせずに、流水で洗うなどして清潔を保ちましょう。

かゆみが強い場合は、刺された箇所を冷やすと症状が和らぎます。

蜂に刺された際は、粘着テープや毛抜きを使って有毒針をそっと取り除いてから、流水で洗いましょう。

市販薬で症状をおさえる

軽いかゆみには、市販のかゆみ止め薬を活用するとよいでしょう。

かゆみが強いうえ、皮膚に赤みや腫れなどの炎症がみられるときには、ステロイド外用剤(塗り薬)も有効です。

掻きすぎて傷になる前に、かゆみを抑え強い抗炎症作用のあるステロイド外用剤(塗り薬)を使用するのがポイントです。

薬局・薬店の薬剤師、または登録販売者に症状を伝え、使用できるステロイド外用剤(塗り薬)があるかどうか相談してみましょう。

気になる痛みや症状があったらお気軽にご相談ください

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